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// by 折場 捻人

ブルックナー: 交響曲第7番(室内楽編曲)

前回に引き続き、世紀末ウィーンつながりということで、有名な「私的演奏協会(*1)」の曲目の一つ、シュタイン・アイスラー・ランクル共同編曲のブルックナー『交響曲第7番』である。(1921だから世紀末の残照というべきか。)

ダウンサイジング編曲では、リストによるベートーヴェン交響曲のような「脱色系」のものにも惹かれるが、これはホルンやクラリネットを含む9人のアンサンブルで、むしろ違和感なく聞こえてくることにまずは驚かされる。

この編曲の良い所は、1・2楽章が重くなりすぎないからか、後半とのバランスがそれほど崩れないことではないだろうか。重くないといっても、ブルックナー特有の弦のトレモロによるザワザワ感など必要な要素がすっかりなくなっているということもない。ピアノの音(主に補強的に使用される)に違和感を覚える人もいるかもしれないが、私はなぜかわからないがそこにウィーン世紀末の匂いを感じてしまう。それに、ブルックナーの交響曲にパートとして参加できなくて日頃残念に思っているピアノ弾きがもしいたとしたら、そのうっぷんを晴らすのにはうってつけの有難い一品ではあろう。

Anton Bruckner: Symphony No.7
(Arr. E.Stein, H.Eisler & K.Rank)
Linos Ensemble
(1999)

この録音はちょっと古いものだが、アルバムとしてはCD8枚に新旧のアンサンブル録音を集成したもの。ブルックナー、マーラー、ベルク、レーガー、シェーンベルク、ヴェーベルン、ドビュッシー、ツェムリンスキー、ブゾーニ、J. シュトラウスⅡの編曲が収められておりこうして並べてみると壮観である。ブルックナー以外ではレーガーの『ロマンティック組曲』の編曲が優れていると思った。J. シュトラウスの編曲についてはまたの機会に取り上げたい。「私的演奏協会」をテーマにした録音はいくつか出ていて聴き比べもできるし、良い時代になったものだ。

  1. ウィキペディアの執筆者,2021,「私的演奏協会」『ウィキペディア日本語版』,(2022年10月15日取得,https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E7%A7%81%E7%9A%84%E6%BC%94%E5%A5%8F%E5%8D%94%E4%BC%9A&oldid=82187606)))

(Oct. 15, 2022)