ラーション: 弦楽四重奏曲集
20世紀スウェーデンの有名作曲家ラーションによる弦楽四重奏のための作品をまとめて楽しめる一枚。1944年作曲の第1番から1975年作曲の第3番までの番号付き四重奏曲全曲に加え、1940年作曲の『晩秋の葉』("Senhöstblad")という組曲も入っている。
Lars-Erik Larsson: String Quartets
Stenhammar Quartet
(2008)
『晩秋の葉』は、ちょうど今の時期にふさわしい、静かに枯葉を踏みしめながら歩いて行くような曲集だ。ラジオ番組(詩の朗読番組)のために作られた一連の曲から"Intima miniatyrer, Op. 20"として一部抜粋で発表されていたものを、未発表の曲を加えて再現したものということで、晩秋の透明な雰囲気を終始保っており、感情の抑制が利いたラーションらしい曲想である。やや繰り返しの単調さが気になる曲もあるが、最終曲("Intima miniatyrer"では第1曲に当たる)Adagioにおける息の長い旋律美は特に素晴らしい。
3曲の番号付き弦楽四重奏曲はどれも渋い美しさを持っていて、第1番2楽章で見せる情感のうねりなど聴きどころは多い。中でも第3番はそれまでの2曲に比べるとよりモダンで、凝集度の高さに比例するかのごとく深く印象に残る。
(Nov. 12, 2022)